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OK-ONE動物病院で日々、行っている診療の様子です。
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2016年01月18日 (月) | 編集 |
尿結石の元になる結晶が尿道に詰まって尿道を塞ぐと、急性腎不全を起こし、状況によっては死亡する場合もあります。
雌猫も雄猫も尿石症の発生率は同じですが、圧倒的に雄猫の方が重症になります。
雄猫は尿道が細く長いので、結晶が詰まりやすいためです。
結晶ができる原因には、肥満、ストレス、膀胱炎、食生活などが関係していると言われています。
治療は急を要する場合が多いですが、殆どの場合、尿道内の結晶の詰まりを尿道カテーテルを挿入して解除した後、
内服薬と特別療法食での内科的治療で治っています。
しかし、再発を繰り返す場合や、尿道の内壁がひどく傷つき尿道狭窄(尿道が狭くなる)を起こした場合、尿道の先端が損傷して
排尿困難になった場合は、雄猫の尿道を雌猫のように短く太くする会陰尿道口設置術が必要になります。
手術後は同様に内科的治療を行いますが、手術した尿道が狭窄することはなく、特別療法食あるいはサプリメントで尿石症の再発を予防することができます。
【手術前の状態】
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【尿道にカテーテルが入っている状態】
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【手術終了】
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愛媛県東温市野田1-18-1
OK ONE動物病院

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2015年04月04日 (土) | 編集 |
モモちゃん 猫 2歳  (不妊手術済み) 

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<飼い主さんコメント>
急にキャットフードを食べなくなり痩せてきた。様子を見ているとゴホゴホ咳をする。
食欲が全くなくなり、いつも行っている病院が休診のため、知人がワンちゃんを連れて行って「良かった」という評判を聞いてOK-ONE動物病院を受診。
レントゲン検査・血液検査の結果、胸腔に液体が溜まっていて肺を圧迫していること、肝臓の数値が高く、肝臓が悪いこと、貧血気味そして脱水状態であることがわかる。
先生に、胸に溜まった液体が膿液なら治療すればよくなる可能性が高いが、それ以外のものなら難しいと説明を受ける。
胸腔穿刺の結果「膿胸でした」という先生のことばを聞いて安堵した。
それから入院生活が始まり、胸に2本のチューブを入れ、膿を出し洗浄する治療を続ける。
出来る限り病院にモモの様子を見に行くようにした。食欲もあり、病院のスタッフさんに「いい子ですよ」と褒められて、胸の膿も少なくなり元気になっていった。
胸の中がきれいになり退院。内服薬(抗生剤と肝臓の薬)と肝臓用の特別療法食で治療を続ける。
そして2月現在、経過良好のため、内服薬を中止して療法食だけを続けています。


<獣医師コメント>
膿胸は胸腔内に膿が溜まった状態を言います。
胸腔全部に溜まる場合と片方だけの場合があります。
他にも液体の溜まる病気があるので、レントゲン検査だけでは何が溜まっているか分かりません。
そのため、酸素吸入をしながら鎮静剤または局所麻酔を使って胸腔穿刺を行い、何が溜まっているかを確かめます。
猫の場合、血液、乳び液、猫伝染性腹膜炎(FIP)の胸水などとの区別が必要です。
膿胸の原因としては、外傷やケンカによる咬傷からの細菌感染が多いと言われています。
初期症状はあまりなく、症状が現れるまで数週間かかります。膿が胸腔に溜まってくるに従い、元気がなくなる、食欲がなくなる、呼吸が荒くなる、咳をするなどの症状が出てきます。
末期になると敗血症、呼吸困難となり体温や血圧が低下して死亡します。
胸腔穿刺で膿を確認したら、先ずできる限り膿を吸引しておきます。状態が悪い場合は前もって静脈点滴を行います。呼吸がある程度安定した所で、麻酔下で胸腔内チューブを装着します。
チューブを通して膿を吸引した後、温かい生理食塩水で胸腔内を毎日洗浄します。洗浄後の液が綺麗になるまで続けます。抗生物質の内服は1~2か月くらい必要です。
膿胸の多くは完治できますが、重症の場合は治療が困難で死亡することもあります。

胸腔内チューブを装着した様子です
(※写真はモモちゃんではありません)
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チューブを外した後のモモちゃん
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今では毛もはえそろって元気です
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東温市野田1-18-1
OK-ONE動物病院



2014年12月16日 (火) | 編集 |
三好クーちゃん(ボーダー・コリー)

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左側会陰部からは膀胱が飛び出ています。
膀胱から尿を抜き、お腹の中へ戻して周囲の筋肉を使って、ヘルニアの部分を閉じて終了。
同時に去勢手術を行います。


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 両側の会陰ヘルニアを整復したところ。


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 今はきれいに治っています。


<飼い主さんコメント>
最初は2、3日便秘が続き、いつも行く動物病院へ連れて行きました。先生の診断は、便がたまって腸が蛇行しているので、便が出にくくなっていると言うことでした。
便をやわらかくして出やすくする飲み薬を処方され、ひどくなったら手術をしなければいけないが、手術をしても治らないと言われました。
それでも、やわらかい便が少しずつしか出ず、3か月以上飲ませていたのですが、お尻の両側が腫れているのに気付き、知人の紹介でOK-ONE動物病院を受診しました。
今は食事にも気を付けて、食欲もあり、とても元気で毎日喜んで散歩に行っています。


<獣医師コメント>
クーちゃんはかなり進行した両側性の会陰ヘルニアでした。
すぐに手術を行いましたが、左側からは膀胱が飛び出ていました。しばらく順調に経過していましたが、3か月後に再発して再手術となりました。
会陰ヘルニアは去勢手術をしていない高齢の雄犬に多くみられます。
会陰部と言われる尾の付け根の片側あるいは左右両側が大きくふくれてきます。
年齢とともに会陰部の筋肉が薄くなり、排便などで圧力が加わると、薄くなった筋肉が裂け、そこから直腸がはみ出してしまうことが原因です。はみ出した直腸に便がたまると、息んでもなかなか便がでなくなります。
膀胱がはみ出てしまうと、排尿障害が生じ、腎不全を起こすと命にかかわります。
内科的には治らないので、できるだけ早期に手術をおこないます。
会陰ヘルニアは去勢手術をしておくと、未然に防ぐことができます。

OK-ONE動物病院
愛媛県東温市野田1-18-1